インプラントの出来る?出来ない?

インプラントの出来る?出来ない? | インプラント器具

歯科治療

インプラント治療は失った歯を補うための治療です。
顎の骨を削る外科手術を伴いますので、どんな方でも受けられるものではなく、状態によっては難しいこともあります。
ここでは、どんな場合にインプラント治療が難しいのか、受けられない場合の選択肢についてご紹介します。

他の治療法を選択した場合

18~20歳以下の方

顎の骨が成長している時期にインプラントを埋め入れてしまうと、歯並びや見た目などの仕上がりに不具合がでてしまいます。
成長が止まるのは18~20歳と言われており、その時期まで待つことが一般的です。

【対策】…治療を開始できない期間は、隣にある歯を利用して仮歯や入れ歯などで一時的に補います。成長が止まったことがわかり次第、インプラント治療を始めることができます。

健康状態に問題のある方

インプランとの外科手術が身体に大きな負担をかける恐れがあるため、次の方は治療が難しいことがあります。

a. 糖尿病で血糖値などのコントロールができていない
b. 心臓の病気で通院している、または過去に通院していた
c. 高血圧で血圧のコントロールができていない
d. 肝硬変や重度の肝臓病である
e. 腎不全のため透析治療中や、重度の腎疾患である
f. 骨粗鬆症治療を受けたことがある
g. 癌治療を受けたことがある
h. アルコールや薬物の依存症
i. チタン(タイタニウム)アレルギー

【対策】…上記のことを経験していても、体調が安定していたら、インプラント治療が受けられることもあります。かかりつけの内科医や歯科医師と相談しましょう。

妊娠中の方

レントゲン撮影、薬の服用、治療を受ける体勢などに制約がでてしまい、治療が難しくなります。

【対策】…治療を開始できない期間は、隣にある歯を利用して仮歯や入れ歯などで一時的に補っておくことで、出産後や授乳終了後の落ち着いた時期に、インプラント治療をスムーズに始めることができます。

インプラントを埋め入れるスペースがない方

重度の歯周病、合わない入れ歯を長期間使っていた、歯を失ってから何もせずに放置していたなどの場合、顎の骨が痩せて(吸収して)しまったり、歯並びや噛み合わせが乱れてしまったりすることがあります。

【対策】…顎の骨が少ない場合は、骨を増やす手術やAll-on-4()のような治療の工夫で、受けられることもあります。歯並びや噛み合わせの乱れは、お口全体の治療で回復できることもあります。
)All-on-4とは、歯が1本も無い状態の上あご、または下あごに「4本のインプラント」をバランスよく埋め入れる方法です。手術直後に固定式の10~12本の人工歯を接続することが多く、早期に見た目を補うことができます。なお、All-on-4は、インプラント治療を行うすべての歯科医師が行っているわけではありません。

喫煙者の方

喫煙によって血流障害が起こりますので、傷の治りが悪かったり、インプラント治療の成功率を下げてしまったりします。

【対策】…禁煙が難しい方は、歯科医師か禁煙外来を設ける病院で相談してみましょう。

歯ぎしりやくいしばりのある方

埋め入れたインプラントへ負担がかかり、早期に抜け落ちることが考えられます。
【対策】…ストレスの軽減や、生活習慣の改善、マウスピース(ナイトガード、スプリントともいう)の装着、噛み合わせの調整などで改善されることもありますので、歯科医師に相談しましょう。

治療の協力ができない方

お手入れ方法や注意事項を守らないことや、勝手に通院や薬を止めてしまうことがあると、インプラントに不具合が起こりやすくなります。

【対策】…インプラント治療が長期にわたって使い続けるには、治療技術だけではなく、患者様のご理解とご協力も必要不可欠です。何か問題があれば、自己判断せず歯科医師やスタッフに相談しましょう。

受けられない場合の選択肢

失った歯を補うには、インプラントの他にブリッジや入れ歯の治療があります。

ブリッジ

失った歯の“隣にある歯”を土台とし、連結させた人工歯(ブリッジ)を被せて補います。土台の歯を削らなければ被せられないため、周囲の歯に負担がかかってしまいますが、1~3ヶ月の治療期間で補うことができます。
ブリッジは歯科用のセメントで接着させるため、お手入れ方法は自分の歯と同じです。

入れ歯

すべての歯を失った場合は、歯茎との吸着力で支える総入れ歯、部分的に歯を失った場合は、周囲の歯にバネなどをかけて支える部分入れ歯をつけます。
経年的にあごの骨が痩せてしまう(吸収する)ことが多いため、定期的な調整や作り変えが必要となりますが、2~4週間の治療期間で補うことができます。
入れ歯は、自分自身で取り外せますので、毎食後お口の中と入れ歯のそれぞれをお手入れすることが必要です。

【豆知識】…親知らずで歯牙移植[しがいしょく]ができることもあります。 健康で適切な形態をした親知らずがあれば、歯を失った部分に移植させて、失った歯の代わりとして使えることもあります。


このように失った歯を補うには、いろんな治療の選択肢があります。
どの治療方法が適切であるかは、お口やお身体の状態、患者様の価値観、経済状態によって異なります。歯科医師とよく相談して治療を選択しましょう。